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新社長インタビュー

2024年6月更新

プロフィール

このたび、シナネンホールディングス代表取締役社長CEOに就任しました、中込太郎です。前年度まで、総合建物メンテナンス会社のシナネンアクシアの社長を務めてきましたが、今年度、山﨑正毅前社長から重責を引き継ぐ形となり、身の引き締まる思いで、これからのシナネンホールディングスグループの舵取りに専念してまいります。

能動的に働く営業を学んだ大阪時代

まず、私自身の経歴についてお話しをさせていただきます。1997年に当時の品川燃料に入社し、1998年に関西支店大阪営業所に配属となりました。当時は比較的手薄だった関西エリアのシェア拡大が最重要課題でした。エネルギーは差別化がつかない商材です。そこで、エネルギー以外の商材を組み合わせて販売したり、お客さま同士のビジネスマッチングを図ったりと、自ら創意工夫した提案営業を推進することで、新たなお客さまを獲得していきました。このときの経験から、お客さまに対して、受け身ではなく能動的な提案で喜んでいただくことの大切さを学びました。

当時の当社は卸売営業が主体でしたが、直接、エンドユーザーの声を聞き、その問題を解決していく必要もあるという考えから、2006年にリテール(小売り)営業を強化する経営方針が掲げられます。この方針転換から、2010年には地域ごとのLPガスの販売会社を統合して、現在の「ミライフ」が設立されます。ミライフ発足の趣旨は、LPガス事業にとどまらず、地域のお客さまに多くのサービスを提供して生涯顧客を獲得する、そして、その中の商材の一つとしてLPガスがあるという考えです。私はこのミライフで営業の陣頭指揮を執ることになりました。

創業の精神で収益構造を変化させ新たな会社を誕生させた

2012年に「インデス」という清掃会社を買収し、私は同社の社長に就任します。当時の会社の規模は、従業員わずか10名程度の小さな会社です。社長といえども、経理、総務、人事、営業、そして現場作業まで何でもこなさなければなりません。インデスでは、大手不動産管理会社から仕事を受託していましたが、就任3ヵ月後に突如契約を解除されます。当時の売上の95%を失うことになったのです。社員を路頭に迷わすわけにはいかない。私は強い覚悟をもって、当時の社員と会社を立て直すことを誓い合いました。

新たなお客さまを獲得するには、まずは作業品質の高さが重要です。品質を均一化させて商品価値を担保するために、私も含む全社員が特定の国家検定資格を取得しました。さらに、付加価値の高い住宅設備機器の販売・設置工事にも事業領域を拡げていきました。あらゆる管理会社を回って新規開拓を行い、少しずつ取引を増やしていき、売上も伸びてきました。その後、他の建物メンテナンスに関連する事業会社をM&Aでグループ化して仲間を増やしていき、合計5社、2023年10月にそれらを統合することでシナネンアクシアを設立し、現在に至っています。現在のシナネンアクシアの従業員は1,395名(※2024年3月31日時点。出向者、契約社員、パート含む)を数えます。

この12年間、会社とは何か、経営とは何かを学んだ日々となりました。わずか10名程度だった会社が経営再建して、当社グループの中でも他の事業会社と肩を並べるまでに成長しました。会社の成長には人の成長が何より重要です。会社の変革期には変化に対応できる人財の育成が必要不可欠であり、人づくりが何よりも大切であることを、身をもって経験してきました。この経験をもとに、今後はシナネンホールディングス全体の人的資本経営を戦略的に強化していきたいと考えています。

業績回復に向けて経営体制を刷新

2023年度のシナネンホールディングスは、非常に厳しい業績となりました。電力事業での「逆ザヤ」に伴う大幅な損失に負うところが大きいと認識していますが、株主の皆さまの期待に応えられなかったことを真摯に受け止め、経営責任を明確化し、2024年度は、業績回復に向けて経営体制を刷新して、全力で取り組む所存です。

また、電力需給管理の高度化を推進し、改めて収益確保の可能な体制の構築を目指します。具体的には、BtoB事業において、市場連動型プランへの移行を推進し損失リスクを低減してまいります。また、BtoC事業においては、他社のバランシンググループ(代表者契約制度)に参加し、電源調達と需給管理を委託していきます。2023年度の状況を踏まえて改善策を徹底することで、2024年度の連結業績で、営業利益28億円の黒字を見込んでいます。

リテールサービス戦略強化と国内事業基盤再整備

足下の業績改善に向けた取り組みと同時に、中長期的な成長を見据えた改革にも取り組んでいきます。

今一度、エネルギー会社からサービス会社へと社員の意識を変革し、エリアに適したサービスを提供していきます。かつてリテール営業へのシフトを決断し、将来の成長に向けてLPガス周辺事業を拡大してきたように、さらなる川下戦略の強化策としてリテールサービスを拡大してまいります。

また、国内事業基盤の再整備も進めていきます。2015年に持株会社制に移行し、事業ごとの最適化を重視してきました。一方、縦割りの事業構造が硬直化し、同一エリアで、複数の事業会社が類似したサービスを提供するケースも見られるようになっています。今後は、エリアごとに、提供する商品・サービスを棚卸しするとともに、地域の中で、お客さまごとに提供できる商品・サービスを考えていくことで、当社グループとしての提供価値とは何かを捉えなおして、事業ポートフォリオを再構築することも必要だと考えています。具体的には、グループ事業をエリアごとに融合させて顧客基盤を構築し、メリハリの効いた地域戦略を実施していきます。グループのメンテナンス事業網を全国に展開することで、地域に密着して高品質なサービス提供を担う企業へと変革していきたいと思っています。

加えて、これからの成長に向けた新規事業の開発も引き続き取り組んでいきます。ソーラーシェアリング、EV普及の促進、バイオ燃料によるGHG排出量の削減など、脱炭素化に貢献する新規事業の創出を考えています。

地域社会に貢献できる会社に

当社グループは2027年に創業100周年を迎えます。煉炭・豆炭という固形燃料のものづくりから始まり、エネルギー会社としての責任を果たすとともに、時代の変遷に応じて商品・サービスを変えながら、さまざまな形でお客さまを、社会を支えるため、幅広い事業を展開してまいりました。当社グループのロゴマークは炎をイメージしています。これからの当社グループは、この"エネルギーの炎"を"サービスの炎"として灯し続けていく会社に変革していきます。株主の皆さまにおきましても、地域社会に貢献できる会社として成長していくシナネンホールディングスグループへのご支援をよろしくお願い申し上げます。

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