TCFDへの対応

TCFDへの対応

Response to TCFD

TCFDへの対応

Response to TCFD

シナネンホールディングスグループは、重要な経営課題である気候変動への対応を、更に実効性のあるものにするため、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明し、賛同企業や金融機関が議論する場である「TCFDコンソーシアム」に参画しています。
そして、気候変動の影響による様々なリスクを認識し、市場の変化と機会・脅威を多角的な視点で捉え、効率化・最適化に取り組むことにより、お客様にエネルギーを安全に、安定的にお届けするという社会的な使命を果たすと同時に、温室効果ガス排出量を削減し、気候変動への影響緩和に寄与していきます。

ガバナンス

当社グループでは、気候変動への対応を重要な経営課題と捉え、シナネンホールディングス株式会社代表取締役社長CEOを委員長とした「サステナビリティ推進委員会」を設置し、サステナビリティ全般に関する課題をグループ全体で把握し、具体的な対応策や目標設定について協議を行います。
サステナビリティ推進委員会は、リスク・コンプライアンス委員会の委員長であるチーフ・コンプライアンス・オフィサーを副委員長とすることでグループ全体のリスク管理の網羅性を高め、グループ全体の取り組みを管掌する関連部門責任者を委員とすることで、事業との連動性を強化する体制とします。
委員会での議論・決定内容は取締役会に報告され、取締役会においては、当社グループで実施する対応策の承認と必要な助言を行います。
また、気候変動への対応を含む当社グループのサステナビリティに関わる取り組みの進捗は、年1回以上取締役会に報告する運用とします。

サステナビリティ推進体制図

サステナビリティ推進体制図

戦略

気候変動リスク及び機会のシナリオ分析では、想定される財務インパクトの大きさから、当社グループ売上高の80%以上(2021年度実績)を占める石油事業、LPガス事業を対象としています。
分析の時間軸は、移行リスク、物理的リスクが大きく顕在化する2050年を分析時間軸と設定し、4℃・2℃それぞれのシナリオについて分析を行っています。
リスク分析の手法としては、SDGs目標やTCFD推奨開示項目から当社事業と関連が深い項目を特定し、移行リスク、物理的リスクのそれぞれの算定を行っています。
分析作業は事業への影響度が高い移行リスクを中心とし、物理的リスクでは主に自社で所有する不動産に対する自然災害の影響度合いを算定しました。
各項目に対してリスクと機会を整理し、発生時期を短期・中期・長期、影響度を小・中・大に分類しています。

TCFD分類 項目 リスク 機会

発生時期

影響度

移行
リスク
政策規制 炭素税・炭素価格の導入
  • 炭素価格導入による化石燃料の需要減
  • 炭素価格導入による燃料調達コスト増
中~長期
脱炭素目標の設定
  • 未達時のクレジット購入コスト増加
  • 達成時のクレジット販売による収益増加
中~長期
市場

エネルギーミックスの変化/エネルギー価格の増減

  • 運送費のエネルギー調達コスト増
  • エネルギー価格高騰による需要減
  • 再生可能エネルギー事業の収益拡大
  • 石油代替燃料の販売拡大

短~中期

脱炭素製品の市場シェア向上

  • 電気自動車・水素自動車の普及によるガソリン需要減
  • LPGの低炭素燃料推進

短~中期

技術 脱炭素・低炭素新技術登場
  • バイオプラ等、脱炭素素材の普及による石油等の売上減
  • 環境対応の車両等の機器導入コストの増加
  • 環境配慮車両の燃費向上、物流効率化に伴うコスト減
  • スマートメータ導入・配送効率化による運送費の削減

短~中期

中~大

新技術開発への投資リスク
  • 再生可能エネルギー等の投資対象における、投資コスト増加および投資対象の陳腐化
  • 再生可能エネルギー等への投資における収益拡大
中~長期

レピュテーション

消費者の脱炭素選好による需要変化

  • 石油・ガス事業へのダイベストメントが加速する事による資金調達コスト増加

中~長期

ステークホルダーからの懸念の増加

  • 気候変動対応の要請増による対応コスト増

中~長期

小~中

物理的
リスク
急性リスク 台風/豪雨による水害の発生
  • 保有資産の毀損復旧費・対策費・保険料の増加
  • 営業可能⽇や利用制限による収益減少
  • 配送遅延・事故の増加に伴うコスト増加
  • サプライチェーン分断による事業継続への影響
  • 浸水リスクの⾼い地域の物件の資産価値減少
  • ライフライン分断にともなうLPガスの備蓄増加

短~中期

慢性リスク

海面水位の上昇

  • 湾岸エリア等に所在する工場、施設への浸水
    物件の移転コスト

中~長期

平均気温の上昇
  • 平均気温・水温上昇に伴う、ガス需要の低下

中~長期

リスク・機会の評価の中で選定した項目のうち、影響度が高い以下の項目について、関連するシナリオとパラメータの選定を行い、4℃・2℃それぞれのシナリオに関する財務インパクト評価を行っています。
シナリオ分析により特定した項目について、リスクの最小化、機会の最大化を実現すべく、長期ビジョンや中期経営計画の策定に反映することで、戦略のレジリエンスを高めてまいります。

影響度が高い項目

気候変動による売上の変化 気候変動による費用の変化
需要減に伴う販売量減少
  • 炭素税・炭素価格の導入によるエネルギー価格の高騰とそれによるエネルギー需要減
  • 水素・電気自動車等の普及に伴う需要減
  • 脱炭素素材普及に伴う石油等の需要減
  • 気温上昇・水温上昇に伴うガス需要減
炭素税・炭素価格の導入に伴う費用の増加
  • 炭素税・炭素価格の導入による費用の増加
  • 炭素排出量未達に伴う炭素クレジットコストの費用増加
再エネ事業の販売拡大 運送費の増加
  • エネルギー価格(ガソリン代、軽油代等)の高騰に伴う運送費の増加
  • EV車両等の設備投資と運送コストへの価格転嫁による運送費の増加
化石代替燃料の販売拡大 設備投資の増加  
  • 台風・洪水等の水害に伴う設備費の増加

リスク管理

当社グループは、気候変動関連の規制や事業への影響等のリスク要因を幅広く情報収集・分析を実施しています。
留意すべき重要な機会とリスクについては「サステナビリティ推進委員会」で評価・特定を行い、事務局である成長戦略部が監督・モニタリングを実行します。
また、チーフ・コンプライアンス・オフィサーがサステナビリティ推進委員会の副委員長とリスク・コンプライアンス委員会の委員長を兼任し、両委員会で問題を共有することで、組織のリスク管理を統合しています。

指標と目標

当社グループは、気候変動のリスク及び機会を評価・管理するための指標としてGHG排出量と炭素生産性の2つを設定し、事業成長とGHG排出量の削減を同時に実現してまいります。

指標 目標 対象とするScope
①GHG排出量 GHG排出量の削減 Scope1+2
②炭素生産性 事業成長と炭素効率の向上 Scope1~3

指標① GHG排出量

Scope1~3全体の排出量を算定した上で、削減目標としては自社努力による削減余地が大きいScope1、Scope2に対象を絞り目標を設定しています。

対象年度 削減目標
2030年度 Scope1+Scope2 50%削減(2016年度対比)
2050年度 Scope1+Scope2 カーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)

具体的な取り組み

具体的な取り組み

指標② 炭素生産性

売上・利益等の財務的な拡大だけでなく、ステークホルダーとの協力によりバリューチェーン全体の脱炭素対応を実現していく指標としてCO2排出量1tあたりの生産性を測る炭素生産性を採用し、目標を設定しています。
「炭素生産性」指標を「売上総利益/GHG排出量」と定め、より少ないGHG排出量でより多くの利益を創出し、脱炭素社会に対応した事業構造への変換を目指します。

対象年度 目標
2027年度 Scope1~3 サプライチェーン全体で6.0%以上向上(2016年度対比)

具体的な取り組み

具体的な取り組み

GHG排出量(Scope1~3)の実績についてはこちらをご覧ください。

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